真っ白な世界にいた
目の前に、誰かの背中がある
そのすぐ傍に、誰かが横になってるのが解った


ああ、そいつ死んじゃったんだ


背中の主は泣いているみたいだ


漠然と、その場面が二人の死別のシーンだと思った
背中の主がぽつり、ぽつりと何かを話しているようだが、ちゃんと聞こえない




『 ど して… 』


『なぁ、 起き よ …』


『  この  界を  って のか…』


『あ  が   ってくれた …?』






少し違う気もするが、ぽつぽつと聞こえる声で背中の主は自分だと気付く








なぁ


なんで俺、泣いてるんだ?








なんで











「………」
涙が頬を伝う感触が残ってる。
静かに目覚めたアーミーは身体を起こそうと力を入れた。
「…ッてえ…」
身体中がぎしぎしと悲鳴を上げる。
なんとか上半身だけを起き上がらせ、頭を数度振った。

ここ、どこだ…?

辺りを見渡すと真っ暗だった。
どうやら何か建物の中の様だが、床が冷たい。
窓がある。
窓から覗く空は紺色で、今が夜なのだと報せた。
空に大きな光るものが浮かんでいる。
あれが、星?
カナンの空は常に雲が覆っている為、夜は本当に闇でしかない。
本で読んだ空に光るものとはこれのことなのだろうか。
きらきらしていて、綺麗だ。
それに、夜なのに随分と明るい気がする。
少し肌寒くて掛けられていた布を胸元へ引き寄せた。









   




   
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